「地球のくらし」をつくっていくには、土とのつながりをとりもどしたり、生きものの多様性や自然の中にあるエネルギーをいかしたりすることが大切です。この絵本は、日々のくらしの中で自然のしくみを発見し、自分のくらしを「小さな地球」に変えるためのものです。

わき水や雨水などを手に入れる方法と排水の生かし方、上手な水の使い方。バイオジオフィルター、ビオトープのつくり方など。

はじめに最初の生命は、太古の地球の水の中で生まれたんだ。そして、長い年月をかけて多様な生きものへと進化してきた。だから、生きものにとって水は環境であり、からだの中を流れ、生きるために必要な栄養分を運んでくれるものでもある。水を通して海や大地や他の生きものとつながり、生態系という地球のしくみをつくってもいる。だから水はとってもだいじなんだ。

著者あとがきから　昨今の気候変動では、豪雨や干ばつなど環境が安定しません。そこで将来、水や食べものに困らないようにと、大きな雨水タンクを設置しました。これまでの井戸や水道、使った水や栄養分をバイオジオフィルターで土地に還すしくみに雨水が加わり、水のしくみが完成に近づきました。

　人間は特殊な生きものです。ほかの生き物とちがって、自分が住んでいる場所に水をひいたり集めたりすることができます。しかし、同時にヘンな生きものです。それは、せっかく集めた水や栄養分を自分の住んでる土地に還さずに下水管を通して川から海へと流してしまうからです。

　もしも、くらすために集めてきた水や栄養分をうまく土地に還すことができたなら、水を浄化することにもつながり、ほかの生きものが住む場所を提供することにもなります。そうすれば、わたしたち人間が豊かな生態系をつくるきっかけにもなるでしょう。
　ほんとうの豊かさは、じつは目の前にあるのです。
（一部抜粋）

目次水は地球をめぐり、からだをめぐる　２
水は運び屋、栄養分をからだに運ぶ　４
水が浄化される自然のしくみ　６
くらしに水をもたらす場所　８
沢水やわき水を利用しよう　１０
井戸を掘ろう　１２
井戸水をくみあげて使おう　１４
雨水を集めて利用しよう　１６
水をきれいにするろ過のしくみ　１８
生きものの力で排水をきれいにするしくみ　２０
バイオジオフィルターをつくろう　２２
ビオトープになる池をつくろう　２４
ビオトープは、生きもののくらしの場　２６
カスケード利用で、水をめぐらせよう　２８
水をめぐらす未来のくらし　３０
パーマカルチャーとは？パーマネント（永久の）とアグリカルチャー（農業）、あるいはカルチャー（文化）を組み合わせた言葉で、「永続的な農業」「永続的な文化」ともいいます。1970年代にオーストラリアのビル・モリソンとデビッド・ホルムグレンのふたりが提唱した考え方で、自然と調和した持続可能なライフスタイルを総合的につくりあげていくことをめざしています。植物や動物、そしてくらしに必要な水やエネルギーなどをどのようにくらしの場にデザインし、また、それらの間にいい関係をつくりあげていくのか、パーマカルチャーの考え方の中には、さまざまなくふうやヒントがあります。
大型本: 31ページ
出版社: 農山漁村文化協会
発売日: 2016/2/1
サイズ: 28 x 21.2 x 1.2 cm
著　四井真治(よつい　しんじ)1971年福岡県生まれ。信州大学農学部森林科学科、農学研究科修士課程にて緑化工学を学ぶ。緑化会社や肥料会社などに勤務後2001年に土壌管理コンサルタント、パーマカルチャーデザイナーとして独立。人がくらすことで場が豊かになるくらしのしくみ(小さな地球)を提案し、八ヶ岳南麓の自宅敷地で自ら実践している。立体美術　宮崎秀人(みやざき　ひでと)1972年、東京都に生まれる。東海大学教養学部美術科卒業。雑誌編集者などをへて、アニメーションの美術制作、キャラクターグッズなどの立体造形を制作。絵本に『つくってあそぼう　油の絵本』(農文協)、『ぼくのうちはどうぶつえん』『むしばくん』(ブロンズ新社)など。写真　畑口和功(はたぐち　かずのり)1949年生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。大阪高島屋宣伝部在籍中、朝日広告賞等受賞。その後イタリアへ渡りスタジオをミラノに開設、国内外で活躍。在伊37年を経て現在八ヶ岳山麓に移住。日本広告写真家協会会員、大阪芸術大学短期大学部客員教授。
農山漁村文化協会
（のうさんぎょそんぶんかきょうかい）近代化は、あらゆる場面で生産効率を高め便利な生活をもたらしましたが、自然と人間の関係を敵対的なものに変えてしまいました。
　農文協は、農と食・健康・教育を軸心として「いのちの流れ」を呼びおこし、都市と農村の関係を変え、自然と人間の調和した社会を形成することをめざして、総合的活動を展開する文化団体です。