チンゲンサイ
華中・華南地方の原産。日中国交回復後の1970年代より急速に普及。1983年農水省が「チンゲンサイ」と名称統一。
特徴
青梗菜。小白菜(パクチョイ)の中で青茎のもの。白茎のパクチョイは明治時代から日本に入り、体菜などに変化していたが青茎は珍しかったので、戦後の中国野菜の代表品種となった。やや大株になる中生種。
用途
油炒め、煮物、鍋物、和え物、漬物、スープなど。
蒔きどき
9~10月、4月中旬
採種地
イタリア
発芽率
85%以上
種子加工
なし
種子消毒
なし
収穫期
春蒔きで5~6月。秋蒔きで11~12月。
播種期
春まきは4月中旬。秋まきは9~10月
発芽適温
15~20℃
播種法
タネが隠れる程度の深さにスジ蒔き、またはバラ蒔き
覆土
普通 (通常タネの厚みの2~3倍)
生育適温
10~25℃
栽培法
発芽後、適宜間引いて育てる。(間引いたものは、つまみ菜として吸い物などに)厳寒期はポリトンネル、酷暑期は寒冷紗等の利用で、周年栽培も可能
採種法
菜類は自家不和合性なので複数株を用意する。菜の花を咲かせ、実がいったら刈り取り乾燥する。他の菜類と交雑し変化しやすいので隔離等充分注意する。
種子寿命
一般菜類に準じ常温で2~3年(やや長命の部類)
休眠
休眠期間は無い
種子保存法
よく乾燥し、お茶の缶などに入れ冷蔵庫の隅に。
野口勲氏プロフィール野口のタネ・野口種苗研究所代表
1944年生まれ。
全国の在来種・固定種の野菜のタネを取り扱う種苗店を親子3代にわたり、埼玉県飯能市にて経営。
伝統野菜消滅の危機を感じ、固定種のインターネット通販を行うとともに、全国各地で講演を行う。
著書に「いのちの種を未来に」「タネが危ない」、共著に「固定種野菜の種と育て方」等。
家業を継ぐ前には、漫画家・手塚治虫氏の「火の鳥」初代担当編集者をつとめた経歴を持つ。
野口のタネ・野口種苗研究所(
http://noguchiseed.com/)
タネが危ない!わたしたちは「子孫を残せない野菜」を食べている。いま世界の農家で使われているほとんどのタネが「F1」と呼ばれる一世代限りしか使えないタネ。そしてF1の中でもオシベがない「雄性不稔」と呼ばれる、生物学的には異常なタネが増えていると言います。
食糧生産の効率化のために増え続けるF1のタネ、私たちの食の安心や安全は守られているのでしょうか?
---- 雄性不稔植物を使ったF1種の作り方 ----
まず改めて簡単に用語のおさらいです。
● F1種:異なる性質を持つタネを、人為的に掛け合せてつくった、雑種の一代目のこと。異種を掛け合せてつくるイイとこ取りの種です。
● 除雄:作物が自家受粉(自分の花粉で受精すること)しないように雄しべを手で取り除くことを言います。F1種は「雑種」であるため、自家受粉されては目的の雑種がつくれないため、除雄が必要になります。
● 雄性不稔:植物の葯(やく)や雄しべが退化し、花粉が機能的に不完全になることを言います。人間で言えば、男性側に原因のある不妊症と同じです。
---- 雄性不稔植物はどのように生まれるのか? ----
とても便利な雄性不稔植物ですが、どのように生まれてくるのでしょうか?
ズバリそれは、突然変異によるミトコンドリア異常によって生まれてくるのです。
ミトコンドリアとは簡単に言えば、細胞のさまざまな活動に必要なエネルギーのほとんどを、直接あるいは間接的に供給する器官です。この、生物にとって必要不可欠なミトコンドリアに異常をきたすことによって雄性不稔植物が生まれてくるのです。つまり、今私達が口にしているものの多くは、このようなミトコンドリアに異常のある野菜ということになります。このような異常のあるものを食べて続けても体への影響は無いのでしょうか?
タネをつなごう固定種とは「固定された形質が親から子へ受け継がれる種」のことを言います。 つまり、親としていいものを選んで選別淘汰していき、そのいいものを遺伝的に固定していき、安定したものを栽培していくということです。それが京野菜などの伝統があり、個性を持った野菜として根付いています。
固定種の利点は、遺伝子が固定されているため、自家採種が基本的に可能であること。野菜を成熟させて、種まで採ることは決して簡単なことではありませんが、私たちが食べているお野菜たちの一生を見守ることができるのはとても素晴らしい体験になるでしょう。
野菜たちは私たちに食べられるために育つのではなく、種を残して子孫を繋ぐのが彼らの一生です。種を残したいという植物たちのエネルギーは凄まじく、全く違う姿になるものもあります。そんな姿を見ることによって、改めて食べもののありがたさを感じることができるでしょう。